重要な作業
2024年11月
空調機器の重要課題の一つに地球温暖化係数(GWP)の小さい冷媒に転換して行くことが求められています。それと同時に、機器からの冷媒漏れを無くし、廃棄時の冷媒回収率を上げることも地球温暖化防止には重要です。
家庭用エアコン(RAC)には工場出荷時に規定量の冷媒が室外機に封入されていて、RACの性能試験の際は、室外機と室内機を冷媒配管で接続します。試験室に据付け後、冷媒配管と室内機に高圧の窒素ガスを封入し、接続部に漏れがないかを必ず確認してから試験に移行します。そして、試験終了後に細心の注意を払って行う重要な作業があります。「ポンプダウン」という作業です。
日本空調冷凍研究所(JATL)では、一年の4分の3を空調機器の性能試験に費やします。通常、ご家庭では一度設置したRACは、交換や移設をしない限り「ポンプダウン」作業を行いませんが、私達は性能試験が終了する度に、この作業が必要になります。
RACの運転中は、下図左のように、室内機・室外機に冷媒が存在しますが、室外機に固定されているバルブ操作と室外機(圧縮機)の運転により、右のように室内機の冷媒を室外機に回収します。慣れれば問題の無い作業ですが、手順を間違えると大事故につながる事例もあり、製造者からの情報に注意して「ポンプダウン」作業を行っています。