2025年5月
日空研では、試験設備に一定の熱負荷を与え、その後、安定するまでエアコンの温度制御によって運転し、収束した状態で性能特性を測定する「負荷固定試験」を、2019年~2022年にかけて実施しました。その時は、平衡式室形熱量計(バランス形熱量計)を使用して行いました。
上の図は、試験設備全体の立面図です。エアコンが設置された平衡式室形熱量計の室内側に、カタログで記載された能力、つまり、一定の熱負荷を投入してエアコンを運転し、エアコンの室温制御によって収束した状態の消費電力を測定すれば、従来の試験方法と同様にエネルギー消費効率を求めることができます。
この試験方法は、ドイツ連邦材料試験研究所(略称:BAM)でも提唱され、参加試験所によって持ち回りで行う、ラウンドロビンテスト(RRT)に日本冷凍空調工業会の試験機関として2020年に参加したことがあります。下の図は、その時測定した冷房運転データの一例で、定格能力に対する負荷率により、定常、または非定常状態で収束しました。
<負荷率 100%>
<負荷率 74%>
しかし、この試験方法には欠点があり、エアコンが定常運転の場合は大きな影響はありませんが、非定常状態で収束した場合、試験設備の室内側容積(
試験空間)によって試験結果が変わってしまいます。したがって、すべての状態において、平衡式室形熱量計でこの試験を行うことはできないという結論に至りました。
そこで、どんな試験設備でも行えるように考案されたのが、早稲田大学基幹理工学部齋藤研究室で開発された、仮想空間に一定の熱負荷を設定してエアコンの運転特性を評価するエミュレーター方式です。この方法では、試験設備の空間容積影響を殆ど受けずに測定できるよう「空気エンタルピー測定装置」を使用し、仮想空間にあらゆる熱負荷を設定できるため、汎用性のある有効な試験方法として注目されています。